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2. ドッグフード誕生と進化 ~犬と人間1万年の歴史~

ドッグフード誕生秘話 獣医に聞いてきました

犬と人間の共同生活の始まり

犬は最も古くにヒトとともに生活を共にするようになった動物です。犬は1万5千年以上前にオオカミから分化したと推定され、犬とともに埋葬された、1万2千年前の狩猟民族の墓がイスラエルで発見されています。

犬の祖先は数千万年前に現れた小型の肉食動物で、ミアキスと呼ばれています。森林の中で昆虫などを餌にして暮らしていました。その中のあるグループがやがて森から平原に出て、開けた場所で獲物を集団で追いかけて狩りをするイヌ科の動物に進化していきました。この犬の野生原種はタイリクオオカミの亜種ではないかと言われています。

このような犬の祖先からヒトと接触をもつものが現れるようになりました。ヒトの食べ残しを餌としてもらいながら、ヒトの狩猟の仲間として活躍し、狩猟民族にとっては欠かせない存在となっていきました。

犬は人間にとって、なくてはならない仲間であり、かつ労働力となり、猟犬・番犬・牧羊犬・犬ぞりなど様々な場面で活躍してきました。

現在では、犬は盲導犬、介助犬、警察犬、セラピー犬などとして働き、またはコンパニオンアニマルという家族の一員としての地位を確立しています。

日本における犬の歴史

秋田犬日本列島での犬の起源は不明ですが、愛知県から見つかった縄文時代の骨を解析した結果、柴犬・甲斐犬・秋田犬と共通する遺伝子のタイプを持っていることが分かりました。

このころの犬の骨格を現代の犬の骨格と比較すると、縄文時代の犬は鼻が細くとがった感じで現代の犬よりも精悍な顔立ちだったと推察されています。体の大きさは柴犬ぐらいですが、足の骨は柴犬より太くたくましい体つきだったことが調査でわかっています。

調査が行われた犬の亡骸は埋葬された状態で見つかっており、縄文人や弥生人にとって犬が大切な存在であったことが分かります。また歯が欠けている状態で見つかったことから古代人とともにイノシシなどの狩猟で猟犬として活躍していたのではないかと思われます。

当時の犬の食事

犬が何を食べていたかは骨に含まれるコラーゲンを調べることでわかります。コラーゲンに含まれる炭素と窒素の割合が食べものによって異なることを利用します。人と犬の骨を調査した結果、骨に含まれる成分がヒトと犬でほぼ同じだったのです。このことより、犬はヒトと同じものを食べていたということが分かりました。

時代の変化とともに犬の位置づけも変化

狩猟中心だった時代から農作物を育て収穫する時代に移り変わっていくと、犬の役割も変わっていきます。狩猟が中心となる時代には猟のパートナーとして活躍していた犬の役割は、獲物を追跡したり、巣から追い出したり、狩りをサポートするといったものでした。そして、狩りで射止めた動物を餌として食べていた犬たちは肉などを食べることを中心にしていました。

その後、農耕をとりいれるようになった時代には犬の役割は大きく変化します。

人間は犬を家の外に繋ぎ、侵入者が来ないか吠えて知らせてもらったり、農作業中に外敵に襲われないように見張ってもらうといった、番犬の役目を中心に行われるようになりました。

人間の食事は農耕で育てた野菜・穀物や魚をメインにするため、犬たちの食べるものも肉中心ではなく、野菜・魚・肉など雑食化していきました。

ドッグフードの歴史

ドッグフードの登場

欧米でのペットフードの登場は、日本の歴史では江戸末期のころに遡ります。

1856年にジェームス・スプラット(James Spratt)が開発した犬用ビスケットが始まりといわれています。

自分の犬が、知人から貰った「航海時に人間が食べるための保存食用ビスケット」をおいしそうに食べているのを見かけ開発に乗り出したということです。

そして1860年にロンドンで史上初の犬用ビスケットを販売しました。その後、1880年代にはSpratt’s Patent Limitedを設立し、アメリカに進出しました。

この会社は後年General Foods社に買収されました。

徐々に犬が食べやすいように進化してきたドッグフード

1907年にはベネット ビスケット社(Bennett Biscuit社)がドッグ・ビスケットの会社として設立され、1922年にはken-L-Rationがチャペル社(Chapel社)から登場しました。この缶詰は馬肉を使用しており賛否両論でした。

このチャペル社は数年後にドッグミール(Dog Meal)というドッグフードを開発します。この当時は現在のような粒状のドッグフードはまだ開発されておらず、粉末タイプのドッグフードでした。

しかし、粉状で食べにくく嗜好性もよくなかったので本格的な普及にはなりませんでした。

1941年の記録では、市販ドッグフードの90%が缶で、ビスケットと粉末を合わせたドライフードが10%となりました。

1957年にジェームスEコービン博士(James E.Corbin博士)によって、開発が進み現在のドッグフードの原型が出来上がりました。

日本初のドッグフードはどんなものだった?

日本へは第二次世界大戦後に進駐軍がアメリカ製のドッグフードを持ち込んできたのが起源です。

その後、1960年に協同飼料社から国産ドッグフード第1号として、粉末・ビスケットタイプが発売され、1965年にはドッグフード「ビタワン」が同社から販売されました。

あの有名なビタワンが初の日本製ドッグフードだったのですね。

1966年には日本農産工業が国産第2号のドライドッグフード「ドッグビット」を開発、販売しました。その後、国産ドッグフードが各社から続々販売されるようになりました。

家庭への普及

ドッグフードが販売され、残飯を主に食べていた犬たちの食生活は激変しました。

そもそも、犬の栄養要求量はヒトとは全く異なります。肉食よりの雑食の犬たちはヒトよりも多くのタンパク質を必要としています。

それだけではなく微量元素の要求量も異なります。残念ながら残飯では犬の栄養要求量を満たすことができず健康上の問題が起きていました。

犬の栄養学に基づいたレシピでつくられているドッグフードは、犬の健康状態を改善し、寿命を大きく延ばすことにつながりました。

また、高度経済成長期後、専業主婦が多かった時代から共稼ぎの時代となり、核家族化が進むにつれ、家庭では調理にかける時間を短縮せざるを得なくなっていきました。

その結果、保存がきき、少しでも楽ができるドッグフードの需要は伸びていったのです。

療法食の誕生

病気の治療用のフードを療法食(処方食)と言います。

この療法食の開発は一人の獣医師と盲目の青年の出会いから始まります。

盲目の青年のパートナーである盲導犬が、ある時、重篤な腎疾患を患ってしまいました。

獣医師は食事の改善による治療を提唱し、研究に研究を重ね、犬の腎疾患に治療効果のあるドッグフードを開発しました。

地道な開発研究の末、たくさんの症状に対するの特別療法食が開発されていきました。

ドッグフードによるワンちゃんへの影響とは

ドッグフード登場以前、犬はヒトの残飯などヒトと同じ内容の食事を与えられていましたが、これだけでは元来肉食であった犬には栄養が足りず、栄養失調状態となっていました。

ドッグフードの登場によって、犬の必要栄養量を満たす総合栄養食ドッグフード、また、犬の病気の治療に一役買う特別療法食の開発が進んで犬の健康状態はよくなり、寿命も延びていきました。

その一方、寿命が延びたことで高齢の犬の間でガンや心臓病などに罹患する犬の数も圧倒的に増えており、飼い主や医療現場が抱える悩みは変化してきています。

ドッグフードの未来予想

ヒトと同じものを食べていた時代から、犬専用のドッグフードが開発されるまでの様々な歴史を見てきました。

それでは今後のドッグフードは一体どのように進化していくのでしょうか?

近年、オーガニックフードやグレインフリーフード、ヒューマンレベルのフードなど「安全な食材」「人間が食べる食材レベル」など品質を重視するドッグフードが多く登場しました。

また、犬の家庭内での位置づけも大きく変化し、労働力であった犬が「家族の一員」として、かわいがられるようになっています。

「犬用誕生日ケーキ」「犬用クリスマスケーキ」「犬用おせち料理」など、家族のイベントに犬が参加するようになっています。

そのための犬専用の料理やケーキ、おやつなども、多数販売されるようになっていますよね。

犬用ディナーなどもあり、ヒトの食事スタイルと大きな差がなくなってきました。

現在、安全な食材を使用し、添加物に配慮し、国産で、しかも産地を記載するのは当たり前というところまでドッグフードは進化してきています。

それはつまり、フードを選んで購入する飼い主さん側の意識の変化によるところです。

飼い主さんたちが、今後のドッグフードに期待しているのは「うちの子に合わせたオリジナルフード」です。

近年ではアレルギー疾患のあるワンちゃんや、味にこだわりのあるワンちゃんなどが増えてきています。

そんなワンちゃんに対して、まだ現実にはなっていませんが、オリジナルメニューを作成し、宅配してくれるというサ-ビスの開発に期待が高まっています。



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